ごあいさつ

投資主の皆様におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素より、ご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
ここに本投資法人第12期(平成21年2月1日~平成21年7月31日)の 決算と運用状況につきましてご報告いたします。
Masahiro Horie
 
東急リアル・エステート投資法人
執行役員
東急リアル・エステート・インベストメント・マネジメント株式会社
代表取締役執行役員社長
堀江 正博
 

一口当たり分配金15,505円

当期は、営業収益7,479百万円、当期純利益2,626百万円を計上しました。 厳しい賃貸市況を反映し、前期に解約予告を受けていたテナントの退去や既存テナントの契約 更新に伴う賃料低下などにより、対前期で減収減益となりました。業績予想(平成21年3月16日公表)に対しては、 136百万円の増益の決算です。
分配金については、当期未処分利益を全額分配することとし、投資口一口当たり15,505円といたしました。前期 (16,284円)と比較して779円(4.8%)の減配(対業績予想で805円(5.5%)増加)です。これまでの加重平均 発行価格599,113円に対する利回り(年換算)は、5.2%となりました。これは、投資主の皆様よりお払込みいただ いた資本(出資金)に対してどれだけ還元をしているかを示す指標ですが、分配金額の絶対水準に加えREITの運 用成果を図る手段として有効であると考え、継続的にご報告しています。
一口当たり純資産額(分配金控除後)につきましては、578,697円です。これに含み益(帳簿価額と期末算定価 額の差)を加えた、一口当たり修正純資産額(NAV)は期末算定価額の下落により687,988円(前期比-129,838円)となりました。
 

第12期(平成21年7月期)のリーシング実績

当期末時点において全23物件中19物件が満室稼働となっ ており、ポートフォリオ全体の稼働率は98.6%となりました (前期比±0.0ポイント)。当期は不動産賃貸市場が平 成15年以来の厳しい状況の中、レキシントン青山のアパ レル会社や、りそな・マルハビルの18階の独立行政法人 に賃貸していた区画など、10テナントの退去または減床 が発生しました。これらの区画及び前期末時点の空室区 画につきましてリーシング活動を展開し、りそな・マルハビ ルや菱進原宿ビルを100%稼働に戻すなど、12テナント が新規入居または増床しました。オフィスの新規入居に 対してはフリーレント(賃料免除)期間を数ヶ月設けること もあるため、新規入居を獲得し稼働率が回復してもすぐに 収益に貢献し始めないことがあります。
また、当期は21テナントが賃料更改を行い、5テナントにおいて 賃料増額、2テナントにおいて据え置きとなりましたが、14テナ ントにおいて減額改定となりました。こうした運用状況に伴い、 当期の賃料収入は前期から111百万円(1.7%)減少しました。
 

第13期(平成22年1月期)のリーシング方針

TOKYU REITの平成21年7月末の空室率は1.4%と、 ほぼ同時期(平成21年6月末)の東京23区(4.9%)及び 都心5区(5.0%)(出所はともにシービー・リチャードエリス 総合研究所株式会社)と比較し低位安定しています。 しかしながら、TOKYU REIT虎ノ門ビル、世田谷ビジネス スクエア、cocoti(ココチ)などの物件において、移転や統 合などを理由に第13期中に退去する旨の解約予告通知を、 11テナントより受けています。受領した解約通知のとおり にテナントが退去し、後継テナントが見つからないまま推移 すれば、第13期末の空室率は3.3%、第14期末の空室率 は4.2%となりますが、稼働の維持・向上を最優先としてリー シング活動に当たっていきます。
 

今後の業績予想

今後の業績予想として、平成21年9月9日に第13期の 一口当たり分配金を13,800円に修正し、平成21年9月11日に第14期について13,100円と公表しました。 これは現在有効な契約に、上記の解約予告と今後の 一定の賃料減額リスクを考慮した数値です。賃料増額 及び物件取得は見込んでおりません。今後の運用状 況や金利動向等により、予想分配金は変動する可能 性があります。
 

遅行する不動産関連指標

内閣府は、日本の景気動向指数(一致指数)の基調判 断を、平成21年5月に「下げ止まりを示している」としてい ます。しかし、稼働率や賃料の水準に大きく影響すると 考えられる常用雇用指数、家計消費支出、法人税収入、 完全失業率などは、景気に遅行する系列として位置付 けられ、これらにより算出される景気動向の遅行指数は、 一致指数に数ヶ月から半年程度遅行するとされています。 そして遅行指数は平成21年7月分(速報)において、未 だ下降し続けています。
こうした景気動向を反映した賃貸区画の解約や賃料の 改定が有効になるのは、テナントからの解約予告通知や 減額要請から半年程度先となるため、稼働率や賃料水 準は遅行指数より更に遅れて変動することになります。 仮に景気の「二番底」がなく、公表される景気動向指数が 改善の兆しを見せていたとしても、空室率や募集賃料な どの不動産賃貸市場の関連指標が、平成21年中は悪 化の方向性を示す可能性は高いと考えています。
 

含み益の減少

当期末時点の含み益は、前期末の40,503百万円より 21,992百万円減少し、18,511百万円となりました。これは、 第三者の不動産鑑定機関が行う期末算定価額(期末 時点の不動産鑑定評価)の見立てにおいて、今後物件 から生ずる利益の見込みを下方修正し、不動産投資期 待利回り(キャップレート)を上方修正(不動産投資リスク の増大)したことによるものです。ポートフォリオ全体では 含み益を確保している状態ですが、菱進原宿ビルなど含 み損を抱えている物件もあります。含み損が大きくなると、 会計原則に基づき減損会計処理を行う(売却をしなくて も会計上損失を計上する)場合もあります。今後、個々の 物件管理に当たっては、資産価値が維持されるよう運用 に努めていきます。
 

長期投資運用戦略

第10期の資産運用報告書にて、不動産マーケットサイク ルとREITの成長戦略について申し上げました。そこでは REIT経営のあるべき姿として、金融逼迫時に物件取得 に励み、金融緩和期に物件売却(或いは買い控え)する という、いわゆる「逆張り投資戦略」について言及しました。 ここでは、そのサイクルが数回循環するような長期で見た 投資運用戦略について述べたいと思います。
TOKYU REITが上場した2003年は「2003年問題」 という言葉が世の中に広がっていたように、不動産マーケッ トの「底」だったとの見方ができますが、2010年に「底」 が来るとすれば、この間の不動産マーケットサイクルは7年ということになります。 今後もこのサイクルが7年で回転すると仮定すれば、2003年から5回転した35年後は 2038年です。上場時の全物件の平均築年数は11年ですので、2038年にはこれらの平均築年数は46年となっ ており、大規模リニューアルなどを経ていなければ、安定したパフォーマンスを発揮できていない可能性が大きい でしょう。ポートフォリオの平均築年数を一定水準以下に 抑えるとすれば、上場時に組入れた物件の大部分は入 れ替わっていなければならない時期が来るのです。
勿論、一度に全ての物件を入れ替えることはできませんの で、順次、保有物件の入れ替えを実施することになりますが、 まず売却の対象となる物件は、築年数の古い物件と考え ています。当該物件が好調にパフォーマンスを上げている 金融緩和期、或いは再開発の好機が到来した時期などに、 売却を行い、キャピタルゲインを確保したいと考えます。
一方、評価額が帳簿価額に対して大きく毀損している物 件も、減損会計の適用を受けるリスクがあることから売却 を検討します。
私はしばしば、「REITは恒久的に存続するファンドである」 とし、投資方針、財務戦略、IR、ガバナンス、コンプライア ンス、リスク管理などについて申し上げてきましたが、上記 の考え方もその「ゴーイング・コンサーン性(継続企業性)」 を前提としたものです。
 

物件の売買について

当期は、新規の物件取得を行いませんでした。価格下落 リスク等を考慮し、保守的に対応してきたためです。
不動産価格の底入れサインが散見されておりますので、今 後は慎重な姿勢を貫きつつも、「長期投資運用戦略」の 観点から、弾力的に物件の取得及び売却を行っていきます。
 

保守的な財務戦略推進による信用力の維持

当期は、前期に引き続き、流動負債の圧縮を図るべく、 短期借入金の長期化を推進しました。前期末時点の有利 子負債の長期比率は84.5%でしたが、当期は短期借入 金のうち80億円を長期借入金に借換え、長期比率を92.8%まで高めました。 これにより、財務健全性は充分向上したと考えています。 この他、一年以内に返済予定の 長期借入金が70億円ありますが、当期、日本政策投資 銀行にて、資金使途を借入金返済に限定したコミットメン トラインを100億円設定し、手元流動性を確保しています。 また、平成21年1月15日、格付け機関ムーディーズ・イン ベスターズ・サービスが、本投資法人を含む14銘柄の REITの格付けを引き下げ方向で見直す旨を発表し、 平成21年4月21日に13銘柄の格下げが公表されましたが、TOKYU REITは、唯一格付けが維持されました。 これは、テナント競争力の高い物件で構成されたポートフォ リオから生じる安定したキャッシュフローに加え、上記のよ うな上場来一貫した保守的な負債管理により、今後の事 業環境の悪化による信用力への影響が、比較的管理し やすいとの格付け機関の見方が反映されたものです。
短期借入金の長期化やコミットメントラインの設定は営業 外費用の増加を伴い、その分は分配金額を抑えることと なりますが、信用力の維持を通じて投資主価値を確保す る重要な施策と考え、取り組んだ次第です。
 

資産運用報酬の削減分の使い道

平成21年4月15日開催の第4回投資主総会において、 第12期より第15期までの4期間(2年間)における資産運用 報酬の期間限定削減(各期2、4、6、8%)が決議されました。 これは資産運用会社からの提案を受けての取組みですが、 その目的は、政府が危機と認定する程の今般の国際的 な金融秩序の混乱の中で、本投資法人の信用リスク等 をサポートする施策を講じるための原資に充当するもので す。当期は、先述の短期借入金の長期化やコミットメント ラインの設定等に伴い、営業外費用が対前期0.6百万 円増加しました。上記の報酬見直しによる当期の削減額 は11百万円ですので、これを充分にカバーすることができ ました。なお、資産運用報酬削減分のうち、今回原資とし て充当されなかった分については、利益として計上し、投 資主の皆様に分配します。
国際的な金融秩序の混乱は落ち着きを取り戻したよう にも見えます。しかし、第12期の資産運用報告書の特集でも触れているとおり REIT市場に対する信頼性はまだまだ回復しておらず、 引き続き不確実性(ダウンサイドリスク)に備える必 要があると考えています。
 
 
 
平成21年9月

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